ものが売れない。
サービスを使ってもらえない。
イノベーションを起こすような商品とはどんなものなのか。
悩みました。
そんな時にこの本を読みました。
「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」
優れたイノベーションを起こしたいものですね。
今回は、そのヒントを記載していこうと思います。
優れたイノベーターとは?
コダックはフェイスブックの登場よりずっと前に似たようなサービスを作りかけていたわけで、
チョバーニ社が立ちあげられるずっと前から大手ヨーグルトメーカーはギリシャヨーグルトには需要がありそうだと感じていたわけで、
AT&Tはアップルより何十年前にテレビ電話を実演していたわけで、
でもイノベーションを生み出せなかったわけです。
では優れたイノベーターはどんな人なのでしょうか。
この本では優れたイノベーターは、世界の今の姿を基に今後の世界を予測するのではなく、固定観念にとらわれずに、もっとよい方法がないかと模索する人だと書いています。
そして、実際にその方法はあります。
それを見つけられる人こそが優れたイノベーターになる訳ですね。
イノベーションを起こすには?
では、実際にイノベーションを起こすにはどうすればよいでしょうか?
この本では、こんな質問を投げかけられました。
「どんな”ジョブ(用事、仕事)”を片づけたくて、あなたはそのプロダクトを”雇用”するのか?」
そう、ジョブ理論とは片づけるジョブに対する理論です。
つまり、顧客が進歩(プログレス)を求めて苦労している点は何かを理解し、顧客の抱えるジョブを片づける解決策と同時に解決策に付随した体験を設けることにあります。
破壊的なイノベーションとは、
- 新しい機会をどこで見つければよいかを教えてくれるもの?
- 業界のトップを一掃するような新たな市場をどこに作るかを教えてくれるもの?
- 新しいプロダクトの中でどれが成功するのかを予測するもの?
いいえ、どれも違います。
片づけるべきジョブに対する理論によって起こされるものです。(と、この本には書いています。)
ジョブ理論のコアには、顧客はある商品を購入する時、進歩をするために、その商品を生活に引き入れるという知見があります。
この進歩が顧客が片づける「ジョブ」となります。
そして、このジョブ解決のために商品を「雇用する」という形で購入するわけです。
進歩=ジョブです。
もっと丁寧に言うと、「ある特定の状況で人が遂げようとする進歩」=「ジョブ」です。
ジョブの特徴としては以下が挙げられています。
- ジョブは機能面だけで捉えられず、社会的で感情的な側面も重要になる(社会的で感情的な側面の方が機能面より強く作用する場合もある)
- ジョブは日々の生活の中で発生するので、その文脈を説明するための状況が中心になる
- 片づけるべきジョブは、継続し反復するものである(独立したイベントであることはめったにない)
ここで一つ注意点としてマーケテイングにおける顧客の「ニーズ」とは異なるということです。
ニーズは常に存在し、漠然としています。
例えば、
- 「私は食べる必要がある」
- 「健康的でいたい」
- 「定年後に備えて貯蓄する必要がある」
などです。
これらは顧客にとって重要にはなりますが、どのように満たすかはぼんやりした方向性しかありません。
ジョブを見つけるには?
ジョブは複雑なので見つけるのは難しいです。
実際にジョブを見つけるにはどうすればよいでしょうか。
ジョブ理論は”なぜ”に重点を置きます。
そしてジョブを理解するためには、知見を集め、様々な事が密接に繋がりあった絵を作り上げることをします。(細かい断片に区切ることではなく)
ジョブを理解するためには以下のことを考えると良いです。
- その人が成し遂げようとしている進歩は何か
- 例:仕事やプライベートで良い第一印象を与える笑顔が欲しい
- その人が苦しんでいる状況は何か
- 例:「歯医者に通って、歯をきれいにしようとしているのに、思ったほど白くならない」
- 進歩を成し遂げるのを阻む障害物は何か
- 例:「スタッフのやる気を引き出す施策を幾つか売ったのだが、何が問題なのかスタッフからは打ち明けてくれない」
- 不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をしているとしたらそれは何か
- 例:「首をマッサージできる器具を購入したが、使用時間がかかる上に、首がかゆくなる」
- その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、もしくは、その解決策のためにトレードオフになってもいいと思うものは何か
- 例:「自分の仕事に活用できるなら、個人が作ったツールでもいいから購入したい」
これらを書き出してみて、ジョブを探してみるのが良いと思います。
ジョブを見つけるには、実際に体験することも大事ですね。
「UX(ユーザーエクスペリエンス)」というと、綺麗な画面にボタンを使いやすく整列されることに重みを置きがちですが、本当にボタンを綺麗に並べることが必要な場合なのかを考える必要があります。
そのためには、ソフトウェアに必要な要件を会議室で設計していてはダメで、外に出て体験して、感じることが大事です。
ジョブを見つけるために原因を探求していき、そのために体験もする。
何が何を引き起こすかを予測できる理論がある事で、イノベーションを運任せにしなくて済みます。
ジョブの体験を構築する
ジョブが見つかったら、次はそのジョブをユーザーがどう体験するかを構築する必要があります。
この本では家具メーカーのEKEAが例に挙げられていました。
EKEAが解決するジョブは「明日までに新居の家具を揃える必要がある。明後日からは仕事だから」。
このジョブを見つけても、それを解決するための方法を提供できなければいけない。
EKEAが今も迄、家具メーカーの世界レベルに君臨するのは、その解決法の模倣が難しいからです。
それが簡単に真似できれば、競合が次々と生まれるでしょう。
そのユーザーの体験がどこよりも優れているのであれば、多少高くても値段を払っても良いと思えるわけです。
EKEAが構築した体験は以下のようなものが挙げられます。
- 託児エリアもあるので子供を預けて店を散策できる
- カフェやアイスクリームショップも併設されている
- 配送日まで待てない人のために、分解されて平らに梱包された品を車で持ち帰ることができる
- すべての商品がシンプルな道具1つで組み立てられるようにデザインされている
このように他が真似できないような解決法を設けているわけです。