地政学が最強の教養らしい。
僕は懐疑的に「地政学が最強の教養である “圧倒的教養”が身につく、たった1つの学問」という本を手に取りました。
どんだけ最強なのか知りたかったです。
筆者曰く、地政学とは、「その国の元首になる。”ロールプレイングゲーム”」です。
地政学を学ぶ理由とは、様々な国際情勢に関するニュースを他人事のように消費して、それに振り回されることから脱するためです。
自分がその国のリーダーであったら、と考えてみる訓練をすることです。
これが、つまり、ロールプレイングゲームです。
筆者の地政学分析には、ある思考のフレームが含まれ、それは国のトップではなくても、経営者でも応用できることが多いです。
地政学は何がいつ起きるのかまでは予測が、リスクをヘッジするオプションを作り出すことができます。
この複数のシナリオを持っておくことをシナリオプランニングといいます。
あらゆる物事には白と黒が同時に存在します。(このような考え方はオクシモロンといいます)
黒か白かのどちらかしかないなんてことはありません。
この本ではオクシモロンの立場を取って書いています。
それによって物事が立体的に見えるようにしてくれています。
地政学の思考要素
6要素
地政学をどのように考えていくのか?
地政学の思考法の要素は以下の6つです。
- 気候
- 周辺国
- 民族性
- 産業
- 歴史
- 統治体系
まずは地理を決めます。
その地理(場所)で気候と周辺国と産業が決まります。
産業が決まるのは、例えば、産業革命が西欧と日本でしか広まらなかったように、条件が揃った場所で広がるからです。
そして、周辺国が分かれば民族性も分かってきます。
厳しい気候の中で、強大な周辺国に囲まれていて、侵略を受け、勤勉性や起業家精神をはぐくめず、自国を強化するような産業を興せなかったら、険しい山脈や大洋などの天然の要塞の守りが無ければ、悲しい歴史となる可能性が高いです。
ランドパワーとシーパワー
世の中の国はランドパワーとシーパワーに大別されます。
- ランドパワー:ユーラシア大陸にある大陸国家で、「国境の多くを他国と接している国々」
- 陸上戦力を持ち、陸上交通の発達により物資や人の輸送を拡大する
- 代表国:ロシア、中国、ドイツ、フランスなど
- 特に国土の広い、ロシアや中国は他国に攻められる前に自ら攻め入る攻撃的な特徴があって、国の拡大を目指す傾向がある(土地を占領することにこだわる傾向)
- ロシアや中国は強権国家になることが多く、まず内なる敵を徹底的につぶす傾向がある。その結果、王様が怖くて本当のことが誰も言えず、裸の王様を生んでしまう
- シーパワー:「国の多くを海に囲まれた国々」
- 海洋戦力を持ち、海上交通の発達により、物資を輸送していく
- 代表国:イギリス、日本、アメリカなど
- 自分たちのデザインする国際秩序の構築に走る傾向がある
- 貿易や金融で関係国に影響を与えるような戦略をとる
- 民主国家になることが多いため、裸の王様は生まれにくいが、長期の目標を安定して目指しにくく、国民が嫌う政策が実行しにくい
ランドパワーとシーパワーの二刀流は歴史上、両立しえないと言われています。
日本はどうなのか。
地政学の要素が分かったところで、では、実際のところ日本はどうなのでしょう。
日本は大した天然資源に恵まれていません。
しかし、一番近い大陸からは急流で守られたことで、昔から隣国から襲われるリスクが少なかったです。
G7で人口は2番目、国の面積は4番目。
また、海を制する者が世界を制するのは今でも世の常なので、海路を考えておくことが大事です。
今でも、世界の物流の95%以上は海路を通じているし、インターネットの通信の99%以上は海底ケーブルを通じて行われています。
チョークポイント
チョークポイントとは、物流が集積する海上の重要な航路のことです。
チョークポイントがシーパワーの源泉になります。
日本のチョークポイントはホルムズ海峡とマラッカ海峡です。
経済と人口のボリュームが大きいところから中東の石油に依存しているからです。
日本が安定的に貿易ができるのはアメリカが日本のシーレーンを防衛してくれて、日本の物流が安全にチョークポイントを通過できるからです。
もしも、アメリカが護ってくれなくなったら、海賊や悪意を持った他国の餌食となり、我が国は兵糧攻めにあうかもしれません。
日本で1日に消費する石油量は約400万バレルと言われており、30万トン級のタンカーが12時間に一度は日本を訪れています。
そして、12時間に一度の輸入が途絶えると日本社会や経済は混乱に陥ります。
一方で、もちろん、アメリカ側にもメリットがあります。
それは沖縄のロケーションです。
もし射程1万キロメートルのミサイルを沖縄に配置した場合、北朝鮮や中国はもちろんですが、アジア全域、中東やヨーロッパに加えて、ロシアに至っては東側だけでなく、モスクワまで、アフリカ、オーストラリアまで射程圏内に入ります。
これだけ等距離で世界の中の都市を射程に入れられるロケーションは他にないし、リゾート地としても魅力があります。
深い海
日本には深い海があります。
ここで核兵器保持の話をしますと、核兵器を持っていている状態が、核兵器が抑止力となるのは、「こちら攻撃したら間違いなく自分もやられる」と確信できる場合だけです。
自分が先制攻撃すれば相手をせん滅できるとの自信を持たせてしまうと抑止力とはなりません。
そのために必要なのは核兵器の所在地をわからなくすることです。
それは、いくら大量に核兵器を持っていてもその所在地がわかれば、先制攻撃で無力化されてしまうからです。
現在は衛星情報などを駆使して地上の核兵器の所在地はすでにわかる状態になっています。
ではどこに隠せばいいのか。
それは深い海の中です。
長時間深海で活動できる原子力潜水艦の中に保有することです。
だから、中国は深い海である南シナ海は喉から手が出るほど欲しがっています。
最後に
世界が不安定にある今だからこそ、地政学を学ぶ機会になるのだと思います。
地政学は世界の政治や情勢を理解するときに多面的にとらえられる学問なのだと思いました。
だからこそ、それを理解する過程で他のことも付随して理解していくことができるのだとも思いました。

