はじめに、
休みの日にふとミステリーを書きたいと思った。本当にふと思った。
昔からミステリーは好きだった。金田一少年とか逆転裁判とか。
でもミステリー小説はあまり読んだことはない。(そんなんでミステリーが好きと言っていいのか疑問だが)
そんなことで以下の本を読んでみた。
『ミステリー「トリック」の作り方—「常識反転法」によるトリックの発想方法』
とても読みやすい本でスラスラと読めた。そして例も含めて説明されていてわかりやすい。かなりおすすめな本。
今回は自分のアウトプット意味も含めてまとめてみることにする。
本記事は「ミステリー「トリック」の作り方—「常識反転法」によるトリックの発想方法」の要約だけになってしまわないよう、個人的な考察も入れたいと思っている。
実はミステリーを書きたいと思ったのには理由もある。そして少しやってみようと思う目標ができた。
人生かけるとかまでではないけど、やってみたいと思えること。それは僕個人の事だからこの記事の最後に書くことにしようと思う。
ポイント1:読者を錯覚させよ(トリックの作成)
ミステリーにおけるトリックとは錯覚を起こすこと。
トリックは幾つも用意し、最後にそれらを組み合わせていく。
錯覚を起こすには読者の盲点をつくこと。それには常識を見つけ、その常識を裏切るような要素を織り込むことがポイントになる。
ではその常識を裏切るためにはどうすればよいか。それには以下の4つのステップを踏むとよい。
- 1.世界観を決め、その世界にある要素をリストアップする
- 2.各要素に対してそれぞれ「常識」をリストアップする
- 3.リストアップした「常識」に対して「反常識」のリストを作成する
- 4.「反常識」を元にどのように犯行に使えるかを具体化する
【補足】1.世界観を決め、その世界にある要素をリストアップする
リストアップする要素は「ものやアイテム」、「特殊現象」の2種類
ポイント2:事件の骨組みを作る
トリックができたので次は事件の一連の流れを作っていく。
流れの作成は以下のステップを踏む
- 1.トリックが使える環境を整える
- 2.一連の事件の流れを作る
- 3.論理の「穴」を埋める
- 4.解決のヒント(前振りと伏線)を作る
- 5.決定的な証拠を作る
- 6.トリックを隠蔽する方法を用意
【補足】1.トリックが使える環境を整える
最初から細かく設定しすぎると後になって辻褄が合わなくなることが多々あるため、最低限だけのものにする。
【補足】2.一連の事件の流れを作る
事件の流れは以下の手順で考える
- 事件全体のアバウトな流れを決定
- 各トリックの「時系列の流れ」を決定
- 事件全体像の「時系列の流れ」を決定
また、このステップで作るのは「事件の流れ」であり、「物語の流れ」ではない。
【補足】3.論理の「穴」を埋める
論理の穴は環境を作り込んで回避する。地図や時間などの細かい設定を作り込んでみたりするのもよい。
それでも解決できないような論理の穴、矛盾ができてしまったらトリックを入れ替えるしかない。同じような分類のトリックと入れ替える。
論理の穴を埋めるテクニック「クローズド・サークル」
犯人や登場人物などが外部の人と接触をするのを絶つために登場人物の限定や連絡手段、移動手段の限定を行うこと。これで「それ以外にも方法がある」という要素をつぶせる。
【補足】4.解決のヒント(前振りと伏線)を作る
前振り
「前振り」:そのトリックを探偵(読者)が見破るために最低限必要な情報
「前振り」によって完全犯罪にはならなくなる。そのために犯人の思いもよらなかった「不慮の事故」を追加する
前振りがしっかり説明できていないと読者は「そんなのありえない」、「そんなトリック実現できないだろう」となって後味が悪くなるので前振りは重要。同時に非現実的なトリックであっても前振りがしっかり説明できてさえいれば読者は納得する。まあ結論、前振りは重要。
伏線
「伏線」:後で読者に気づかせる要素を盛り込むこと。前もってそれとなく配置する。
伏線は物語を進める上でなくてもいいものであり、トリックを推論する上でなくても構わないものだが、物語を楽しんでもらうためにはとても大切な要素。
【補足】5.決定的な証拠を作る
犯行時にできる物的痕跡の作成、そして、物的痕跡を「時間的」、「空間的」の2点において犯行を行った人にしか残せない状況を作ることがポイント
【補足】6.トリックを隠蔽する方法を用意
隠蔽:一連の流れの「原因」もしくは「結果」のどちらかを読み手に意図的に見せず、読み手に推測ができないようにすること
ミステリー作品では「原因」を隠蔽することがほとんど。
「カモフラージュ」:他に怪しい要素を物語に入れること
ミステリーのルール
以上がミステリーの作り方になる。が、補足として今回読んだ本に記載されているわけではないが、個人的に必要な項目だと思ったので載せておく。
推理小説を書く上でのルール「ノックスの十戒」、「ヴァン・ダインの二十促」だ。
ノックスの十戒
ノックスの十戒はイギリスの推理小説家ロナルド・ノックスが発表した推理小説を書く上での10個の鉄則である。以下がその内容。(引用はwikipadia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8D%81%E6%88%92)
- 犯人は、物語の当初に登場していなければならない
- 探偵方法に、超自然能力を用いてはならない
- 犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない(一つ以上、とするのは誤訳)
- 未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
- 中国人を登場させてはならない(→超人的な身体能力を有する人物を出してはいけないの意味)
- 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
- 変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
- 探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
- サイドキックは、自分の判断を全て読者に知らせねばならない(→サイドキックとは探偵の助手のこと)
- 双子・一人二役は、予め読者に知らされなければならない
「ヴァン・ダインの二十促」
これもノックスの十戒と同様のもので、1928年にアメリカのミステリー作家ヴァン・ダインによって提唱された推理小説を書く上での20個の鉄則である。(引用はwikipadia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8D%81%E6%88%92)
- 事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。
- 作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない。
- 不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
- 探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである。
- 論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない。
- 探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
- 長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
- 占いや心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。
- 探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。
- 犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
- 端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。
- いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい。
- 冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。
- 殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
- 事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
- 余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである。
- プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。
- 事件の結末を事故死や自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ。
- 犯罪の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する。
- 自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである。
- 犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
- インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
- 指紋の偽造トリック
- 替え玉によるアリバイ工作
- 番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
- 双子の替え玉トリック
- 皮下注射や即死する毒薬の使用
- 警官が踏み込んだ後での密室殺人
- 言葉の連想テストで犯人を指摘すること
- 土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法
まとめ、
はい、今回はミステリーの書き方(作り方)についてまとめてみた。まとめることでまず土台のインプットとアウトプットまではできたと思う。
こっからミステリーの作成をしていく必要がある。これが本番のアウトプットになる。
今後やりたい野望
冒頭でも書いた今後やりたいこと。それは推理ゲームの作成である。
といっても本格的なものは作成するつもりはない。アプリで楽しめるようなものが作成できればいいと思っている。
今回こんなことを考える上で感銘を受けたのは2つある。
一つは逆転裁判シリーズ。
逆転裁判シリーズは素晴らしいと思う。
1~3のシナリオ、ストーリー性、トリック、キャラクター性はとても素晴らしい。
ただ、4~6はとてもいまいちだった。ネタバレになるからあまり言えないが、ストーリー性も4でダメにして、そこから崩れていると思っている。そしてトリックも微妙。ダメ出しはいつかネタバレOKの記事として書くときにでも書こうと思う。
そして大逆転裁判も本当に素晴らしい、シナリオ、ストーリー性、トリック、キャラクター性もさることながら伏線の回収そしてなによりも世界観がとても整っている。
2つめは野田クリスタルさん。
2020年のR-1で優勝された野田クリスタルさん(2020年のM1でもマヂカルラブリーとして優勝してる)。彼はゲームをHSPで作成されていた。その姿にいちプログラマー(エンジニア)として動かされたものがあった。
余談だが2020年のM1のプロモーション動画、めちゃくちゃよかった。あれを作成した人とてつもなくいい仕事をする人だと思った。
自分に自信がなく生きているが何か形として作ってみたいという意欲にかられた。
これからの動きとしては、今回この本を読んで得られたノウハウをもとにまずはミステリーのストーリーを作成していこうと思う。乞うご期待...って感じ。(いつになることやら)