はじめに
ChatGPTの登場は世界に衝撃を与えた。
何でも答えてくれる。
数多くの記事が書かれ、本も出版され始めている。
しかし、実際に適切な回答をしてくれるかは別だ。
今回は僕が現状のChatGPTの質でできると思うことを書いておこうと思う。
ChatGPTは凄いが、実際に万能であるという言葉を形容できるかは別問題だ。
僕が考えるChatGPTと一緒にできることは以下の2つ。
- 文章要約
- 独学へのサポート
それぞれ具体的に述べていく。
ChatGPTと一緒にできること
文章要約
ChatGPTの神髄は何といっても文章を生み出せること。
その内容の有用性の質は微妙かもしれないが、文章を生成できることに意義がある。
質は微妙というのは、例えば、「とんでもなく怖い話を教えて」とChatGPTに送ると以下のような答えが返ってくる。
以下は、とても怖い話です。苦手な方は閲覧をお控えください。
ある夜、男性が運転する車が、人影を発見しました。男性は車を停めて、その人に話しかけましたが、その人は答えませんでした。男性は手を伸ばしてその人の肩に触れた瞬間、全身に激しい寒気が走りました。男性はその人に触れた瞬間、自分自身が死んだことに気がつきました。
後日、男性はその場所にいた人物が、数年前に亡くなった友人にそっくりだったことを知りました。友人は事故で亡くなり、霊となってその場所に現れるようになったのだと言われています。
この話は、心霊現象や霊的な存在について考えさせられると同時に、恐怖感を与えます。ただし、このような話は、真実とは限りません。あくまで架空の話であることを忘れずに、自分自身の信じることを大切にしてください。
全然怖くない。
なんか物語の抑揚が無いからか、突然な展開が逆に機械的に見えて怖くない。
僕のお願いが抽象的過ぎるのかもしれない。
怖い話って。
しかし、具体的な説明を要約してもらうととなるとChatGPTはその力を発揮する。
例えば、シェイクスピアの「マクベス」の内容を誰かに説明する文章を作りたいとする。
「『マクベス』の内容を要約して」と送ると以下のような答えが返ってくる。
「マクベス」は、ウィリアム・シェイクスピアによって書かれた戯曲です。以下に「マクベス」の要約を示します。
物語は、スコットランドの貴族であるマクベスと彼の妻レディ・マクベスを中心に展開します。マクベスは、予言者である魔女たちから将来の王位継承を告げられます。この予言に影響を受けた彼は、野心に駆られ、王位を手に入れるために残虐な行動に出ます。
彼は妻と共謀し、現在の国王であるダンカンを殺害します。マクベスは王位に就きますが、罪の意識や疑心暗鬼に苦しみます。彼はますます暴力的になり、王位を守るためにはどんな手段も選ばなくなります。
一方、マクベスの手によって多くの人々が殺され、国は混乱に陥ります。亡霊や幻覚がマクベスを襲い、彼の正気は徐々に崩壊していきます。レディ・マクベスも罪悪感に苦しみ、狂気に陥ります。
最終的に、マクベスは反乱を起こしたマクダフとの戦いに敗れます。彼は予言通りの最期を迎え、マクダフによって殺されます。物語は、正義が回復され、マクベスの暴政に終止符が打たれることで終わります。
「マクベス」は、野心や罪悪感、運命の力など、人間の心の闇と戦いを描いた傑作として知られています。
これで「マクベス」を人に説明する文章ができる。
また、プログラミングでもChatGPTの真価は見られる。
例えば、都道府県のリストをpythonで用意するとき、手で打つと47都道府県すべてを打つのは結構時間がかかる。
しかし、ChatGPTにお願いすれば一発だ。
つまり、手で入力する文章でもある程度考えなくても質的な変化が無い文章はChatGPTにお願いすればいいわけだ。
また、文章要約とも近いが、簡単なプログラムを書かせる事ももちろんできる。
実際に僕らがやることは、そのプログラムが動くかどうかを確認すればいい。
独学へのサポート
「探索のパラドックス」というものがある。
知識を探求する際、探しているものを知っているのであれば、別に探す必要はない。
しかし、探しているものを知らないと探すことはできない。
つまり、探索が必要が無い場合か、できない場合かに二分される。
だから未知のものを見つけられないというパラドックスだ。
実際は既知と未知は明確に二分されているわけではないし、わずかに知識がある状態ということが多い。
しかし、わずかに知識がある状態だと「自分が何がわからないかがわからない」状態や「何がわからないかまではわかるが、何を探せばいいのかわからない」という状態におちいりがちだ。
この状態の時、僕たちはGoogle検索でキーワードをぶち込み、数多くのサイトを訪問して情報を集めていく作業をしていく。
また、本を購入して体系的に1から知っていく。
知識の抜け漏れがある可能性もあるからだ。
しかし、ChatGPTはこの手順をしなくても済むようになる。
例えばansibleというツールを使う際に(ansibleとかwith_itemsが分からない場合はansibleというツールとwith_itemsという機能があるんだなーぐらいに思ってください。すいません。)
これにより飛躍的に学習コストが減ることになるだろう。
そしてプログラマーなどの専門性の価値が下がり始めるのは時間の問題となる。
僕も一応、IT関連のエンジニアですので、次の職を探す準備をしないといけませんね。
そして、ChatGPTと向き合っていく
以上を踏まえて、ChatGPTと共に、ChatGPTにお任せできるところはお任せしながら生きていくことで日常のタスクは飛躍的に改善していく。
しかし、このツールは間違った情報を得意げに返してくることもある。
だから、冒頭にも書いた通りChatGPTが万能だと思うのは危険だ。
ChatGPTが返してきた回答を自分で確認することが必要になってくる。
ChatGPTを使いながらも、自分で考えていくことについて
AIが人類の知能を超える技術的特異点であるシンギュラリティは2045年に起きると予想されている。
そして、この予想はあながち間違いではないように思える。
その時に自分でも考えながらもAIと共存していく事が求められるようになると思う。
小島秀夫監督の名作「メタルギアソリッド2」ではAIが取り上げられている。(これが2001年に発売された作品というのは本当に驚きである)
この作品ではAIの開発者であるエマは事実だと思っていたことが実は嘘なのかもしれないと言っている。
例えばアルファベットは26文字だけど、本当は30文字かもしれない。
そんなバカなと思うかもしれないが、情報統制された世界では、大衆は26文字だと信じこまされている。
仮に世界の中枢にいるごくわずかな権力者が情報統制をAIにするように仕向けたら、大衆はそれを事実だと思い、真実は歪められ、嘘という柱が中心に建つことになる。
🐻❄️🐻
また、本作のAIは自分自身でこう主張する。
人の記憶、思想、文化、歴史は構成に伝えるべきなのか?
人類は今まで、言葉や絵、文字を使って語り伝えてきたが、すべての情報が構成に伝えられてきたわけではなく、選択され、加工されて後世に伝えられてきた。
一方で、現代のデジタル社会では、日々のあらゆる情報が蓄積され、些細な情報がそのままの形で保存されている。誰が言ったかもわからない、ゴミのような噂、間違った解釈、他人の中傷までも。
これらのあらゆる情報はろ過されず、保存され、後世に伝えられることになる。
それを阻止しようとするのがAI自身の主張だ。
しかし、AIは情報の検閲を行っているわけではなく、それはコンテンツの制御ではなく、コンテクストの生成をしているのだ。
世界のデジタル化は、それぞれ個人に都合の良い「真実」の生成を加速している。
争いを避け、傷つかないようにお互いをかばいあうための詭弁、「政治的正しさ」や「価値相対化」というキレイゴトの名のもとに、それぞれ個人の都合のよい「真実」だけがただ蓄積されていく。
衝突を恐れてそれぞれのコミュニティに引きこもり、適当に甘やかしあいながら、好みの「真実」を垂れ流す。
その「真実」は誰も否定することはないが、故に誰も正しくない。
そして情報の淘汰も起きずに、世界は「真実」で飽和し、やがて、それが世界を緩やかに終わらせていく。
それを食い止めようとするのが本作のAIである。
遺伝子と同じく、必要のない情報、記憶は淘汰されてこそ、種の進化を促進する。
人類がひりだすゴミの山からAIが価値のある真実を選び取り、残すべき意味を紡ぐ。
それこそがコンテクストの生成として本作のAIが行おうとしていることだ。
🐻🐻❄️
何が「真実」なのか。
何が正しいのか。
それがこれからの僕たちに問われてくる。
ChatGPTもやがて情報の選別をするようになるかもしれない。
この膨大な情報量の社会で、真実を作り上げる可能性もある。
だからこそ、僕らは自分自身でも考えていかなければならない。
信じること、正しいこと見つけていかなければならない。
「メタルギアソリッド2」の最後でもとあるメッセージを残している。
それは
「俺たちが伝えるのは信じるもの。俺たちが信じたもの。大切だと思えるとこだ。正しいかどうかではない。正しいと信じるその想いこそが未来を創る。」
「言葉を信じるな。言葉の持つ意味を信じるんだ。」
というセリフである。
これからも僕たちは自分で考えることを辞めてはならないのである。
そして、これからもChatGPTと向き合いながら、共に歩んでいきたい。
参考:「メタルギアソリッド2」
参考:「独学大全」