まとめ買いを好む一人の男がいた。
彼曰く「まとめ買いすると安くなる」のだとか。
だが、食品をまとめ買いしては食べきれなくて結局捨ててしまう。
洋服をよく買う一人の女がいた。
彼女曰く「好きなものに囲まれていると幸せ」なのだとか。
だが、部屋は服であふれかえる。そのたびに収納スペースを確保し、収納するための容器を購入する。
迷える子羊たちよ、一旦立ち止まって考えるのだ。
本当にまとめ買いをすると安いのか。本当に好きなものに囲まれて溢れかえる部屋にいるのが幸せなのかと。
満たされない悶々とした日々を過ごしていた彼らがある日、本屋に入ると、偶然、一冊の本が目に入る。
タイトルは「使い切る。」
タイトルには無駄がない。そして句点でタイトルが終わっている。タイトルそのものも使い切っている。
その清々しいタイトルに引き寄せられるようにして、彼らはこの本を購入する。
今回はそんな無駄のない知恵の詰まった「使い切る。」という本を紹介し、その中にあるコスパを見出す。そして声高らかに叫ぶのだ「コスパ、見ぃつけたっ!」と。
それは一種の悟りに近いようにも思える。
「使い切る。」の概要
「使い切る。」は料理研究家、有元葉子氏による本。
この本は料理についてというよりは料理を含め家事、そして生き方にいたるまでの向き合い方が書かれた本。
その中身は全て「流れ」という考え方に通じている。
生活の中にあるひとつの哲学を知ることができる。
「使い切る。」の中に見つけたコスパチックな言の葉
空間を使い切る。
この本で一番印象に残ったのは「流れ」ということである。
つまり流動的な動きがあるのだ。
まずは収納スペースは限られたスペースを用意するのがいいんだとか。
ものをとっておく場所が小さいほど、ものはよく「動く」。これも、ためない暮らし、風通しのよい暮らしの大事な法則です。
「使い切る。」より
空間はモノを「納める」だけにとどまらないことも知っておく必要がある。
空間はものを「納める」ためだけでなく、ものが「動く」ためにある、ということです。
「使い切る。」より
食べ物を使い切る。
食べ物に関しても「流れ」が重要になってくると思う。
人生にストーリーがあるように食べ物もそのストーリーの一部と思えた。
皮まで食べきるならば、できるだけ良い大根を選びたい。材料を無駄なくおいしく食べようとすれば、塩やオイルなどの良質な調味料や、おいしいおだしが必要。良い調味料やおだしを使うなら、すぐに取り出せるここに置いて、この容器やディスペンサーに移しておけば、適量が使えるし液だれもしない......とストーリーはどこまでもつながっていきます。
暮らしを大切にするって、そういうこと。すべてがつながった「流れ」なのです。
「使い切る。」より
人生を使い切る。
最後は人生そのものも「使い切る」事を説く。
人生を使い切るというはつまるところ「精一杯生きる」という事なのだろう。
そのために、我々はちゃんと食べて、ちゃんと動くという事が大事なのだとか。
そしてやっぱりというか健康ってホント大事なんよね。
最後には未来に繋がる流れの一つになりたいもの。
なんかとても哲学。
自分もそうです。自分自身も使い切りたい。「充分使ったから、もういいや」とまわりに思ってもらいたいし、自分自身も「十分に使い切った。はい、さようなら」と思える人生が理想です。そのためには、ちゃんと食べて、ちゃんと動いて、健康でいなければなりません。
料理も家事も人生も大事なことは一緒。要は自分を使い切ることです。
「使い切る。」より
「使い切る。」からたどり着いた一つのコスパの答え
冒頭でも書いた例にあるように、我々は捨てるという行為を行う。
これがもったいない。
そもそも捨てない生き方ができているという事は無駄が無いという事。
買う段階でこれは本当に必要かを見極め、購入したらその価値を全うさせるまで使い込んであげる。
そのものの本来の価値を維持しながらより長期で使う事ができれば払ったお金以上のものを得られる。
これがコスパが良い。
そしてこれは人生も同じ。
健康で懸命に生きれば。人生を使い切れば。人生のコスパは良い。
結局のところ、コスパの良い人生とは、懸命に生きた人生なのかもしれない。