「芸術的創造は脳のどこから生まれるか」 読書記録 #61

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はじめに

芸術を生み出すことは難しい。

また、新しい事を生み出すのは難しい。

それを知ることができるなら自分の創造性を引き伸ばすことができるかもしれない。

そう思ってこの本を手に取りました。

「芸術的創造は脳のどこから産まれるか?」

何よりも数多くの論文をもとに書かれている本で、且つ、それらの論文を綺麗にまとめて言語化しているところはとてもすごかったです。(語彙力)

この本で得た、創造性のためのヒントとなる知恵をここに記しておきます。

創造性を得るためのヒントたち

「創造的な人は3つのネットワークを同時に働かせることができる」らしい

アメリカの脳活動の研究によって、創造的思考には重要な3種類の脳活動のパターンが関わっていることがわかりました。

それが以下の3つです。

  • デフォルト・モード・ネットワーク
    • 自由で創造的な思考やアイデアの発想に活動すると言われている
  • エグゼクティブ・コントロール・ネットワーク
    • アイデアの評価、明確なゴールのある思考の時に活動すると言われている
  • サライアンス・ネットワーク
    • デフォルト・モード・ネットワークで発案されたアイデアをエグゼクティブ・コントロール・ネットワークに運ぶ仲介役

そして、創造的な人は3つのネットワークを同時に働かせることができることが示されました。

これでわかることは、創造的な人は、アイディアの発案だけではなく、アイディアの評価も同時に行っているということです。

「意欲や報酬を上手く相互作用させるのが良い」らしい

創造性を生み出しやすいタイプの思考は「拡散的思考」で、そうでないタイプの思考は「収束的思考」だそうです。

要は、「拡散的思考」な思考をすれば創造性を生み出しやすくなるわけですが、この「拡散的思考」ができているかの評価は

  • 思考の流動性
  • 思考の柔軟性
  • 思考の非凡性

の3つの要素に重みを置かれて評価されます。

これは以下のように言い換えられます。

  • 思考の流動性→短時間にいかにたくさんの案を創出できるか
  • 思考の柔軟性→広い視点から問題をとらえられるか
  • 思考の非凡性→オリジナリティのある案かどうか

では、この拡散的思考ははどうやったらできるようになるのでしょうか。

何か問題に取り組むときの問題解決への意欲や、解決によって得られる報酬がどんなものかが問題に取り組むエネルギーに影響してきます。

この意欲や報酬などには以下の2つがあるそうです。

  • 内発的意欲
    • 達成感や充足感などの喜びを報酬とする意欲
  • 外発的意欲
    • 金銭的報酬や称賛など、外部から提供される報酬を目当てに頑張る意欲

そして、この2つの意欲や報酬を上手く相互作用させることで、問題解決へのパフォーマンスを上げるようにするのが良いです。

「考えなくても予測できる状態にすると創造的な学習の意欲が生まれる」らしい

脳は予測可能な外部情報に対して使うエネルギーを節約できます。

予測が可能になることに対して、脳のエネルギーに余裕ができることで、負荷の重い「不確実な情報」に対しても目を向けることができるらしいです。

ですので、新しい事を始めるときはまずは基礎固めをしっかりし、基本的な情報は確実に知識に取り込むことで、基本的な事に対しては脳のエネルギーをあまり使わないで済むようにしてあげることで、負荷のかかる新しく創造的な情報を学習しようという意欲が生まれてくるそうです。

「ぼんやりする時間を意識的にとることが大事」らしい

ぼんやりな状態、「心ここにあらず」な状態です。

これはマインドワンダリングという現象で、この時、上記で記載した、デフォルト・モード・ネットワークが活動するらしいです。

この現象は勿論、スマホやネットを見ている時には消滅してしまいます。

ですので、スマホやパソコンでyoutubeを見ないで、ぼんやりする時間を意識的にとることが大事になってきます。

「潜在学習は臨界期を過ぎてもされる学習メカニズム」らしい

個人的に一番興味があったところです。

よく、子供の頃から音楽をさせた方良いとか、英語の学習を子供の頃からさせた方がいいとかいうのを聞いたことがある人も多いと思います。

生後6~12ヵ月は人生の中で最も重要な時期と考えていて、これを「臨界期」と呼びます。

臨界期は能力を獲得できる適切な時期で、それを逃してしまうと、いくら努力しても限界がくるとも言われる期間です。

ここで、この臨界期に英語をやっていないと、大人になってから本格的に英語の勉強をしても習得しにくいと思ってしまいます。

しかし、そうとも言えないです。

以前、「ほんとうに頭の良くなる世界最高の子供英語」の記事でも書いたのですが、「外国語習得については臨界期仮説(ある年齢までで英語は習得しないといけない)は当てはまらない」と実証した研究もあるようで、今回のこの本でもそこは言及されています。

そのことについて書くには、まず、潜在学習と顕在学習について書く必要があります。

  • 顕在学習は学習者が自覚的に行う学習プロセスで、学習内容や目標を明確に認識して考えて学習する現象
  • 潜在記憶は無意識的または意図せずに行われる学習プロセスで、繰り返し作業を行うことにより自然と体が学習してしまう現象

です。

日本人が英語を学ぶときは文法や単語などを意識的に学ぶ顕在学習をしますが、日本語は潜在学習をしています。

ここで潜在学習をした日本語の方が流暢に話せています。

さて、潜在学習はスポーツや楽器の演奏でも言える臨界点を過ぎてもできる学習です。

潜在学習で英語を学習できれば、無意識レベルで英語が使えるのではと言う研究がいくつもあるそうです。

つまり、顕在学習よりも潜在学習を多くした方が英語がより習得できるという主張です。

科学的に見ても臨界期を超えても、潜在学習を続けていれば習得できるという訳です。

まとめ

今回は創造性を身に着けるべく、「芸術的創造は脳のどこから産まれるか?」を読みました。

内容はとても濃い本で、論文をもとにした専門知識を交えて説明しているのでとても説得力があります。

今回の記事では個人的に興味を感じた部分を記載しました。

  • 創造的な人が同時に動かす3つのネットワーク
  • 内発的意欲と外発的意欲を上手く相互作用させると良い
  • 考えなくても予測できる状態にすると創造性のある学習ができる
  • ぼんやりする時間を意識的にとることが大事
  • 潜在学習は臨界期を過ぎてもできる

です。

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